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2015.01.09

住民を支える福祉とは

 平成27年になりました。私も村長6期目に入り、すでに半年が過ぎようとしています。長く村長という職についてしまいましたが、村政の課題が消えたり、悩みがなくなることはありません。20年の経験は、世の中思ったとおりにいかない、ということがよくわかりました。
 さて、昨年の暮れに、さいたま地裁で強盗殺人などの罪に問われた少年(18歳)に懲役15年の判決が言い渡された、のですが、法廷で明らかにされたこの少年の育った環境をこの1月8日の朝日新聞が取り上げました。これを読んで、何とも言えない衝撃を受けました。事件は、昨年3月26日に埼玉県川口市のアパートに暮らす、自分の祖父母の背中を包丁で刺して殺害し、母親(42歳、強盗罪などで服役中)と共謀して現金約8万円やキャッシュカードを奪った、というものです。小学校4年、別居中の両親が離婚。少年を引き取った母親は、知人男性から金銭的な支援をうけ、ホストクラブに通い続け、1か月も帰宅しないこともあった。少年は、「捨てられたかと思った」と答えた。5年生になると、母親が交際する別の男性と静岡へ、金がない時は野宿。学校にも行けず、その後、住民票を静岡においたまま、埼玉県内を転々、自治体が居場所を把握できなくなった。中学校も行かず、行けずと言った方がいいのか、この間に13歳下の妹ができた。母親は、少年に金を無心するようになる。だんだんエスカレート、少年は、うそを重ね実母のおばから現金4~5百万円を借りた。男性が失踪し、孤立。16歳になった少年は、母親と妹を養うため、塗装会社で働くものの、浪費する母親が給料の前借を迫り、結局給料のすべてが前借の穴埋めとなっていく。事件当日、殺してでも金を持ってこい、と母親から迫られ、祖父母宅で事件に及ぶ。ざっとこんな内容である。一番の味方であるはずの母親から追い詰められ、肉親から嫌がられながら借金を重ねた。少年の親族に裁判長が「あなただけではないが、周りに大人がいて、誰かが少年を助けられなかったのですか」と。最後に裁判長が少年に「君のことを思う人といっしょに、社会に帰ってくるのを我々も待っていようと思う」と語りかけ、少年は、はい、と小さな声で答えた。この正月に、少年に1通の年賀状が届いた。事件の弁護人から。年賀状をもらうのは、「小学校以来、うれしかった」と弁護士に笑顔をみせたという。
 周りに大人がいて、誰か助けられなかったのですか、これは、私に言われているように感じた。現実にこんな少年がいて、事件を起こす。学校にもいけない。こんな少年を支援できない政治、行政、福祉って何だろうと思う。
かといって、何ができるだろうか。どんな村人がいるか、1800人だったら把握できる。把握できるのだったら、何もできないまでも寄り添うことができる行政でありたい、と年の初めに思った次第です。豊かな日本、アベノミクスで経済第一の日本の中で、車中生活をしている家族がたくさんいるとの報道もある。こんな少年、少女たちがまだいるのだろうと思うと、日本の豊かさとは何か、これも年頭に考えさせられてしまうのです。

02:49 午後 | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック