« 2008年9月 | トップページ | 2009年4月 »

2009.01.21

「民意」という言葉を考える

 私は、民意=民の心=という言葉をよく使う。よく使うようになったのは、田中康夫知事誕生のときからである。このときの選挙では、村の政治に携わっていた私も含めた関係者は、田中氏を支援しなかった。しかし、長野県民が選んだのは、田中氏であった。県政や村政に携わっていた我々はショックであったが、同時に、いままで多くの県民の心、すなわち「民意」を把握してきたのだろうか、ということを考えさせられた。常に、県民、村民のことを思いながらやってきたのに、という思いもあった一方で、政治というのは、真の民意をつかむ努力をしなければいけない、という思いからそんな話をするようになった。しかし、現実に村長という立場にいると、村長も村民から選ばれた代表、議会も代表、つまり、どちらも民意の代表。その代表が、村の政策を決定し、遂行しているのでそこで議論されれば手続き上何の問題もないはずである。これが問題なら間接民主主義は、どうなるのか、でもある。
 今回改めてこの問題を考えさせられたのが、岐阜市長選挙である。市立岐阜商業高校のあり方をめぐって、議会と対立した細江市長は、民意に問う、として辞職後、出直し市長選挙に立候補した。前述のとおり、議会も代表、市長も代表、その意見が対立した。さあ、どうするか。トップとしての意思を貫徹することが、住民の利益になると判断していれば、何があろうと初志貫徹するという政治姿勢に共感するので、岐阜市長の行動は、たいしたものだ、と思った。同じような行動では、郵政民営化の小泉首相とダブる。あの時、郵政民営化によりどんな影響があるのか、といった冷静な判断より、初志貫徹のために、衆議院を解散して国民に訴えるという、リスクを背負ってでも戦う強いリーダーに酔ったのではないか、と思う。今回もそれに近いことが起こるのでは、と思っていた。
したがって、反対した議会の中から対抗馬が出て、選挙になると予想した。まさに、争点を一つに住民の声を問うことになるのである。それがいいのかどうかは、別の問題として。
 ところが、最終的に強力な対抗馬が出ず、細江市長が当選しそうな情勢のようである。これで議会は、再び反対できる。一方、市長は、当選したのだから、民意は支持した、民意は我にあり、と主張するであろう、と推測する。 結果はどうなるのか、それはわからないし、岐阜市民が決めることである。
 この岐阜市の動きは、地方自治に携わる者として深く考えさせられることである。ただ、郵政民営化や長野県のダムと違い、教育という課題であり、争いにふさわしい課題かどうか、という問題はあるが。
 最近は、リーダーシップ論ばやりであるが、強いリーダーが求められるということに異論はないのであろうが、強さとは何であろうか。私は、対立した議会代表と市長が立命館誘致と市立岐阜商業存続をかけて、激しい選挙戦をやるものと思っていたが、そうでないところをみると、外でみるより複雑な問題なのだと思う。この場合、複雑ならば、教育という視点から時間をかけてねばり強く結論を導きだすようなリーダーは、どう評価されるのだろうか。根回しではだめであるが。
 私も結論を急ぐし、自分の考えがほぼ正しいと思うタイプのようである。だから、議会と対立することもある。それでも「村民の立場、利益」に立ち返って判断しなおし、それでも私の考えていることが正しいと思えば、貫徹したいと思う。貫徹できないときにどうするのか。その時は、辞めるというのが政治家なのだろう。
 ただ、民意といっても、感情論だけが先行する自己利益を主張するようなものもあるので、見極めが必要である。そこで最近は、真の民意という言い方をしている。
 理想は、私こそ民意である、といえるようなリーダーであろう。そんな思いを持つには、村政に情熱を持ち続けなくてはならない。長く村長をやっていると、一番難しいのがこの情熱の維持である。
 論理は飛躍するのかもしれないが、民意の反映を思うと、結局住民の政治関心度、最後は投票行動になるのかもしれない。地方自治も、つまり我々自分自身の責任になるのであろう。
 
 
 
 
 
 

10:23 午前 | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2009.01.05

平成21年の新年を迎えて

 あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。
 昨年、秋から新たな投稿が載らず、何人かの皆様からご指摘を受けました。言い訳なんですが、昨年の10月から12月前半まで、けっこう忙しい日々を送りました。忙しいといっても、民間会社の前線で働いている皆さんのことを思えば、我々の忙しさなどたいしたことはないと思います。ただ、いろいろな行事が重なったり、出張が続いたり、少し考え方をまとめなければならないことがあったり、といった具合で、精神的に余裕がない、という状態だったのです。
 昨年の最大の感動は、長野県下縦断駅伝競走大会で飯田下伊那チームが51年ぶりに優勝したことです。かつて下伊那チームが強いときがありました。その当時、泰阜村からも選手が出ていたようです。なにしろ、私が58歳でトシだなあ、と思っているのですが、前回の優勝は、小学校一年ですから記憶にまったくありません。今回は、泰阜村から二人の選手がエントリー。早野選手は、一区を走りました。宮沢選手は、当日の交代で補欠に回ったようです。それにしても、上伊那、長野、佐久、松本でなく、飯田下伊那が優勝したということでほんと感動しました。12月には、佐久長聖高校が全国高校駅伝を制しました。昨年の二位で、女神が逃げたと思ったのですが、それをばねに優勝したということは、ほんとうに力をつけたということでしょう。
 職員に話したのですが、長聖のエース村沢選手は「辛い練習は、思い出せない。毎日が辛かったから」というような談話でした。我々の仕事で辛いなどということがあるのだろうか。どうしたら地域力をつけられるのか、村が元気になるのか、辛いほど考えてほしいものだ、という思いをこめての私の言葉でしたが、たぶん伝わっていないと思います。私の表現力がないからです。
 去年の秋以上に、今年の実体経済は、大変と予想されています。泰阜の企業も大変なことと思います。その原因は、やはりアメリカ型の新自由主義、新たな金融工学といった経済論理だと思います。アメリカが世界の輸出を支えていましたが、その原資は、借金でした。その借金は、誰のものだかわからなくなり、めぐり巡って世界中で支払うことになりました。
 さて、これからどうするか、です。私は、色紙を書くことはめったありませんが、求められたとき「忍耐」と書きます。自分の人生にこの言葉が一番あっていると思うからです。たぶん、みんなで耐えることになると思います。
しかし、いい時代を経験した我々は、耐えることは苦手になりました。そして、世の中の面倒なことや悪いことを他人のせいにするようにもなりました。
 こんな時代に必要なこと、それは自律です。泰阜村が合併でなく、自立を決めた時の計画は、自律計画という字を使いました。すべての歳出を20%カットすることにし、そのために、まず村長の報酬を20%カットしました。けっこう家計に響いたようです。しかし、そうしなければ、みんなが納得しなかったように思います。
 確かに、総理大臣以下、百年に一度のこの恐慌を乗り切るために、財政規律より、景気対策を優先させよう、とう気概は感じます。また、そうしなければなりません。麻生総理も、みんなでがんばろう、もともと日本は、国力があり、いままでも何回も難局を乗り切ってきたではないか、と言いたいと思います。でも、国民にいま一つ響かないのは、国会議員や国家公務員のかけ声は聞こえても、心が伝わってこない、からではないでしょうか。
 いま、東京の永田町では、国会議員会館の建て替え工事がおこなわれている。いましのげないほどの議員会館でもないと思うのですが。この難局というなら、こういう工事は、中断するとか、国会議員の報酬や国家公務員の給与も10%カットするとか自らも律するという覚悟を聞きたいものだ、というのが国民の本音ではないだろうか。
自治体は、お金を印刷して発行することはできません。だから、収入が減れば、支出も抑える以外ありません。しかし、国と日銀は、あらゆる手段を使って、国の経済を動かすことができます。国民がついてくるような政策ならば効果が出ます。私も定額給付金でなく、2兆円は、次世代の新たな産業(たとえば環境)開発に使うべきだと思いますが、それを待っている人もいるでしょう。だったら、早く実施すべきです。二次補正も今日提案されました。
 野党もこれを通さないなんてことはないでしょうが、それにしても国民の心へ響きません。
 新聞半面を使って、政党の宣伝が出ています。その広告代は、もしかしたら政党交付金かもしれません。約三百億円というお金が交付されています。こんなときこそ、そのお金も減らしたらどうか、と思います。
 かくいう私も総理大臣の立場なら、言えないかもしれません。村長の報酬も減らしてきましたが、カット率を少し回復させてもらおうかな、なんて思っていた矢先でしたから。でも、この状況ではそんなことは、いえません。
 泰阜村は、世の中の景気のいい時も悪い時もずっと低空飛行でした。これからも低空飛行が続きます。
 でも、落ちないでここまできました。今年も落ちない操縦をしなければなりません。今日の(1月5日付)の信濃毎日新聞社説で泰阜村のことを取り上げてくれました。低空飛行の中で、福祉を大事にしています、というとかっこよすぎますが、私も給料もらうけど、村民の皆様も支える施策もやります、ということだと思います。
 今年もご支援をよろしくお願いいたします。
 
 

03:35 午後 | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック